従来の患者組織を「ミニ臓器」として培養皿上で永続的に培養するオルガノイド技術では、臨床腫瘍の性質や薬剤への反応を必ずしも反映していないという難点があったが、患者由来がんオルガノイドは元の患者がん組織の特徴の多くを培養中も保持しており、薬剤試験に応用され始めている。
今回、慶應義塾大学医学部研究グループは、患者由来オルガノイドを用いた新規薬剤スクリーニングシステムを開発した。
従来のオルガノイド培養技術に改変を加えることで正常大腸オルガノイドの短期間での大量培養を実現し、患者由来大腸がんオルガノイドの大規模薬剤スクリーニングに正常組織を組み込むことに成功した。
この創薬プラットフォームを用いることで、個々のがんに効果を示す抗がん剤だけでなく、正常組織に対する副作用が少なく、がんに対して特異的に効果を示すような薬剤を探索することが可能になりました。
この技術は大腸のみならず他の臓器にも幅広く応用可能であり、今後の新規創薬の発展や個別化治療の推進に貢献することが期待される。
本研究成果は、国際科学誌『Nature Chemical Biology』オンライン版に掲載された。