細胞内の浄化・再利用システムであるオートファジーは、正常細胞にとって重要な機能であるが、過剰な細胞増殖や抗がん剤投与に由来する様々なストレスに対し防御的に働くことにより、がん細胞の生存や抗がん剤耐性化に貢献する。

そのため、オートファジーはがん治療における新たな標的と考えられおり、さまざまなオートファジー阻害剤が開発されている。

今回、富山大学、産業医科大学、岐阜大学、長崎大学、鹿児島大学や岐阜薬科大学生命薬学大講座らの共同研究により、オートファジーに特徴的な現象であるオートファゴソーム形成に重要なシステインプロテアーゼであるAtg4Bの阻害化合物の創製研究が報告された。

In silicoスクリーニングにより、リード化合物を分子モデリングによって構造最適化し、得られた強力なAtg4B阻害剤について、前立腺がん細胞におけるオートファジー阻害活性と、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC) 治療薬の作用増強活性を評価した。

本研究成果は、国際学術誌「Journal of Medicinal Chemistry」に掲載された。