膵がんは最も致死率の高い悪性腫瘍の一つであり、早期発見が非常に困難ながんのひとつである。

そのため、膵がんの原因解明や早期発見に有用な非侵襲的腫瘍マーカーの同定は喫緊の課題である。

近年、動物実験から特定の腸内細菌種の存在が抗がん剤の効果を決定することが分かっているが、ヒトでは十分な研究が行われていなかった。

人体には数百兆個・千種類以上の常在菌が消化管に生息しており、それら常在菌やウイルス(ファージ)の集合は総じて「マイクロバイオーム」と呼称され、ヒトの健康と病気を理解する上での重要な要素となっている。

今回東京大学消化器内視鏡学分野と国立国際医療研究センター消化器内科、糖尿病研究センター、感染症制御研究部、欧州分子生物学研究所らの研究グループは、膵臓がん患者と非がん患者の唾液と糞便中のマイクロバイオームを網羅的に解析し、マイクロバイオームが膵がんの新たな腫瘍マーカーとして利用できる可能性、またマイクロバイオームの膵がんに対する抗がん剤効果の予測の有用性について検証した。

本研究成果は、「Gastroenterology」のオンライン版に掲載された。