細胞外小胞(EV)は、細胞が放出するナノメートル(10億分の1メートル)サイズの袋状の物質であり、癌細胞においては増殖や転移に関与すると考えられている。EVにはさまざまなタンパク質が含まれており、その種類や量は肺癌患者では異なることが明らかになっているが、そのなかで、糖鎖はほとんどそのままEVにコピーされる。
今回、鹿児島大学院医歯学総合研究科 呼吸器内科学分野の研究グループと地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター研究所・糖鎖オンコロジー部との共同研究により、肺癌細胞から放出されたEVに含まれる糖鎖のかたちを調べることにより、EVを放出した癌細胞の種類を診断できる可能性が報告された。
実際に、小細胞肺癌と非小細胞肺癌から放出されたEVには、それぞれの癌細胞の性質を反映した異なる糖鎖が存在することが明らかにされた。
本研究成果は、国際学術誌 「Journal of Biological Chemistry」に掲載された。