乳がん全体のうち5~10%は、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群によるものとされている。この症候群に関わる遺伝子の一つが、BRCA1であり、細胞内のDNAに生じたDNA二重鎖切断)の修復を担い、両親のどちらかから変異を受け継いでいる人は数百人に1人という頻度で存在する。

この遺伝子の変異があると、変異が無い場合に比べ、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが若年から高くなり、生涯の発症確率も非常に高くなる。

今回、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構と量子生命・医学部門 放射線医学研究所 放射線影響研究部らは、東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野、東京都立大学大学院人間健康科学研究科、順天堂大学大学院医学研究科臨床遺伝学、乳腺腫瘍学らとの共同研究で、遺伝性乳がんの新しい動物モデルの作製に成功した。

これまでのモデルよりもヒトに近い病態を示す本モデルラットを用いて、遺伝性乳がんの発生の仕組みを解明することにより、遺伝性乳がんの予防法の開発に繋がることが期待される。

本成果は、「Cancer Science」にオンライン掲載された。