ヘルパーT細胞とキラーT細胞はMHCと呼ばれる分子を介してウイルス感染細胞を見分けているが、それぞれ限られたMHC分子しか認識できない。
今回、広島大学大学院医系科学研究科免疫学、同研究科小児科学、マックスデルブリュック分子医学センター(ドイツ)、シャリテベルリン医科大学(ドイツ)などからなる国際共同研究チームは、見出された仕組みによって、T細胞が従来考えられていたよりも広範なエピトープを認識してウイルス感染細胞の排除にあたっている可能性を示唆した。
人類に普遍感染するがんウイルスの一種、EBウイルスに感染した細胞の抑え込みに重要なT細胞とよばれる免疫細胞について解析を進め、マウスおよびヒトの細胞を用いた培養実験で検討したところ、EBウイルス感染細胞を認識して活性化したヘルパーT細胞が本来とは機能的に異なるキラーT細胞へと機能転換することを確認した。
これらのヘルパーT細胞由来のキラーT細胞では、遺伝子領域全体が本来のキラーT細胞と酷似した転写制御を受けていることが判明した。
本研究成果は、学術誌「Cancers」誌に掲載された。