稀少癌である子宮肉腫と良性腫瘍である子宮筋腫は手術適応になり、術前診断の精度は向上しているが、臨床現場では子宮肉腫と子宮筋腫の鑑別診断が難しい症例もあり、術前診断のさらなる精度向上が望まれている。

東京大学医学部附属病院とサイオステクノロジー株式会社らの研究グループは、人工知能(AI)を用いて、子宮肉腫の術前MRI画像の診断システムの開発に成功した。

子宮肉腫と子宮筋腫の263症例の術前MRI画像を用いて、深層学習(ディープニューラルネットワーク)および評価を行ったところ、正診率91.3%と高い診断能力が示された。

これは同症例を診断した放射線科専門医の正診率88.3%に匹敵する結果である。

また放射線科専門医の資格取得に向けて修練中の放射線科専攻医がAIの診断結果を診断補助として利用したところ、80.1%であった正診率が92.3%まで上昇した。

深層学習は、画像診断との親和性が高い手法と考えられ、術前診断の精度向上や診断補助のほか、アルゴリズムをもとに、AIが自動で子宮の病変を見つけて診断する自動診断技術への発展など、実際の臨床現場でのさまざまな応用が期待される。

本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。