食用可能な化合物であるモノケトン型のクルクミン誘導体 GO-Y022(デケットミン)についての報告が、Frontiers in Immunology 誌(電子版)に掲載された。

この化合物は胃癌に対する抗腫瘍活性(殺細胞効果)が知られているが、一方で腫瘍免疫を負に制御する制御性 T 細胞(Treg)を生体内で抑制する機能(腫瘍免疫賦活化作用)は微弱である。これは腫瘍が嫌気的解糖によって過剰に産生する乳酸によって阻害されるためと考えられている。

胃癌細胞株に擬似糖である2-デオキシグルコース(2-DG)を加え解糖系を抑えると乳酸産生は抑制され、Treg の分化も抑制された。また、1μM 以下の低濃度の GO-Y022 で抑制された。

2-DG は PET-CT などの検査試薬であり、安全性は高く、同じく食用の GO-Y022 を併用することで安全性の高い腫瘍免疫療法を行うことができる可能性が示唆された。

本研究成果により、癌細胞の代謝を GO-Y022 と 2-DG によって是正し、抗腫瘍効果を発揮させるという新たな癌治療の戦略が期待される。