体内における線維化は、肝臓や肺などのさまざまな臓器で生じる。

これらは高率にがんを合併することから、臓器線維症の病態理解や新規の治療法開発はがんを予防、早期発見する上でも非常に重要である。

特に 特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF) は、診断後平均生存期間も 3-5 年の難病で、有効な治療法が十分確立されていない。

さらに、肺がんを合併する IPF 患者は、肺がんを合併しない IPF 患者より予後が悪い。

今回、東京慈恵会医科大学エクソソーム創薬研究講座、外科学講座呼吸器外科、東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門らの研究グループは、加齢とともに発症率が高まる肺疾患であるIPFに高率に合併する肺がんの悪性化に関わる要因が、IPF の病態において重要な老化した線維芽細胞が分泌するエクソソーム(細胞外小胞)により促されていることを発見した。

これにより、IPF に合併する肺がん病態のより詳細な解明につながり、ひいては新たな治療開発へとつながることが期待される。

本研究成果は、「American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology」オンライン版に掲載された。