PD-1は、活性化T細胞、特に腫瘍浸潤リンパ球の表面に発現する重要な免疫チェックポイント受容体であり、PD-1/PD-L1シグナルはT細胞の機能低下を誘導する。

PD-1/PD-L1シグナルを抑制するICBはT細胞を再活性化させ、腫瘍増殖抑制効果を示し、癌患者の20-30%に奏功し生存期間が延長することが報告されている。

今回、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子腫瘍医学分野と同消化管外科学分野および国際医療福祉大学医学部免疫学らの共同研究グループは、大腸癌の免疫チェックポイント阻害薬治療においてRTP4サイレンシングにより腫瘍細胞内因性の治療抵抗性が出現することを突き止めた。

dMMR/MSI-H大腸癌は予後不良で標準化学療法抵抗性を示すが、フレームシフト変異により腫瘍遺伝子変異量が高く、ネオ抗原が豊富で免疫原性が高いため、ICB治療が有効な治療法とされている。

しかしながら、ICB治療に対する治療抵抗性を獲得することも多く、腫瘍遺伝子変異量の低さ、腫瘍特異抗原の欠如、β2-ミクログロブリンとMHC-I分子の消失、JAK変異、PTEN欠損、Wnt/β-カテニンシグナルの活性化などがICB治療耐性の分子機構として報告されているが、早期の抵抗性メカニズムは不明である。

研究グループはC57BL/6マウス由来のdMMR/MSI-H大腸癌細胞株MC38を用いて、早期のICB治療抵抗性獲得機序を探索した。

本研究成果は、国際科学誌Journal of Gastroenterologyにオンライン版で発表された。