肺癌の治療には殺細胞性抗癌剤と血管新生阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤（ICI)が併用される。

血管新生阻害剤は、未熟で漏れやすく機能が障害された腫瘍血管を正常化し、腫瘍組織への薬剤や免疫細胞の送達を改善する。

ICIは腫瘍組織内に浸潤する免疫細胞の活性を維持する効果があるが、これらの薬剤を併用しても、依然として治療効果は十分ではない。

今回、北海道大学大学院歯学研究院と藤田医科大学医学部らの研究グループは、血管新生阻害剤の先行投与が、併用される抗癌剤やICIの抗腫瘍効果を増強する可能性を示した。

まず、マウス肺癌モデルを用いて血管新生阻害剤を投与し、血管の正常化に伴う腫瘍組織低酸素と免疫細胞浸潤の改善には3日間かかることを見出した。

そこで血管新生阻害剤投与3日後に抗癌剤パクリタキセルとICIを投与したところ、同時投与よりも抗腫瘍効果が大きくなることが分かった。

これにより、血管正常化後に免疫チェックポイント阻害剤や抗癌剤による治療を行うことがより効果的であることが示唆された。

本研究結果はCancer Medicine誌にオンライン公開された。