今回、国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所とがんゲノミクス研究分野分野長 らの研究チームは、臨床情報が付随した170症例の胃がん全ゲノム解読データを用いて、染色体の増幅や欠損といった染色体構造異常の全体像を明らかにした。
また胃がんの染色体構造異常には特徴的な6種類のパターンがあることを見出し、喫煙の有無やドライバー遺伝子との関連などその発生機序を推定した。
更に全ゲノム解析データから染色体外DNA (Extra-chromosomal DNA: ecDNA)を同定することに成功し、ecDNAがFGFR2,ERBB2, CCNE1といった既知のがん遺伝子の高度増幅を引き起こし、胃がんの発生・進展に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
全ゲノム解析によって明らかとなった胃がんの染色体構造異常の要因を解明することで新たな予防研究への展開が期待され、また染色体外DNAは胃がんの新たな治療標的や分子マーカーとなる可能性がある。
本研究をきっかけとして全ゲノム解析の医療現場への活用が期待される。
本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。