フェロトーシス(ferroptosis)は脂質酸化依存性細胞死とも呼ばれる細胞死の一種で、近年、がん細胞に対する抗がん薬の感受性などに関与することが明らかになっており、がん細胞のフェロトーシス感受性を高める薬剤は、新たながん治療薬となることが期待されている。

今回、東北大学大学院医学研究科 腎・膠原病・内分泌内科学分野とドイツのヘルムホルツ研究センターミュンヘンとの国際共同研究により、ジヒドロオロチン酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害薬ががん細胞のフェロトーシス感受性を高める理由とその仕組みを明らかにした。

DHODH阻害剤によるフェロトーシス感受性増強作用は、薬剤の本来の標的であるDHODHそのものの阻害ではなく、別のフェロトーシスの制御タンパク質であるFSP1を阻害する作用を介したものであることを突き止めまた。

これにより、がん細胞のフェロトーシスの制御機構におけるFSP1の重要性を確認しただけでなく、臨床応用可能なFSP1阻害剤を有効ながん治療薬として開発する今後の研究につながることが期待される。

本研究成果は、国際学術誌Nature誌のMatters Arisingのセクションに掲載された。