膵臓がんは、初期には自覚症状が出にくく早期発見が難しい病気である。

腹痛や体重減少などの自覚症状が現れた段階では、周辺組織への浸潤を伴う進行がんとなっているケースが多いため、がんと診断されてから5年後の相対生存率は12.5%とがんの中でも生存率の低いがんの一つである。

また、膵臓がんによる国内死亡者数は年々増加傾向にあり、2021年には38,000人を超えて、肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位であり、予後を改善するためには早期発見が極めて重要であるが、膵臓がんを初期の段階で検出するには、直接所見である腫瘤だけでなく、膵臓の萎縮や膵管の拡張・狭窄などの間接所見にも着目する必要がある。

しかし、膵臓は他の臓器と比べて構造が複雑であることから、間接所見の発見が難しいという課題がある。

今回、富士フイルム株式会社と国立大学法人神戸大学は、AI技術を活用して腹部の非造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見の検出を支援する技術を開発した。

これにより、両者が今年4月に開発した、膵臓がんの検出を支援する技術の適用対象を、造影CT画像から非造影CT画像へ拡大する。今後、一般的な検診や人間ドックで撮影される非造影CT画像からより多くの潜在的な膵臓がん患者を拾い上げ、早期治療につながると期待される。