人体を構成する細胞の一部は、自ら推進力を生み出すことで身体の組織中を移動することができるが、立体組織中を細胞が動く仕組みは未解明なままである。

今回、金沢大学ナノ生命科学研究所と北海道大学電子科学研究所の共同研究グループは、立体組織中において細胞がクラスターを作りながら動く物理的な仕組みを解明した。

本研究グループは、細胞が動く物理的な仕組みに着目し、独自の科学計算技術を開発することにより、立体組織中を細胞が動く仕組みを明らかにした。

さらに、細胞の偏った界面張力は、細胞と周囲との界面に一方向的な流れを生じることにより、細胞や細胞塊(クラスター)が動くための推進力を生み出すことも明らかにした。

このコンピュータシミュレーションにより、がん浸潤や胚発生にみられる複数の異なる動きのパターンが再現され、各パターンが生じる物理的な条件が特定された。

本研究成果は、米国科学誌『Biophysical Journal』のオンライン版に掲載された。