ヒトゲノムDNAのCpG配列中のシトシンは、DNAメチル化酵素によりメチル化され、これにより遺伝子の発現が制御されている。また、DNA脱メチル化反応に関連する酵素としてメチルシトシン酸化酵素が同定されており、この酵素によってメチルシトシンはヒドロキシメチルシトシンへと酸化される。
正常細胞では正常なメチル化パターンが形成されているが、がん細胞などの異常な細胞ではゲノムDNA全体のメチル化やヒドロキシメチル化レベルが低下する。
また、これらの修飾状態の異常は、がん細胞だけでなく、アルツハイマー病などの中枢神経疾患でも報告されているため、これらの疾病の診断のためのバイオマーカーとしての応用が可能である。
今回、東京工科大学らの研究グループは、がんや中枢神経疾患のバイオマーカーとして期待される、ゲノムDNAのヒドロキシメチル化レベルを、試薬を混合するだけで簡便かつ迅速に測定できる方法を開発した。
同一のプラットフォームを用いてゲノムDNA全体のメチル化レベルを測定する方法を開発されており、これに本手法を組み合わせることで、より正確な疾病診断への応用が期待される。
本研究成果は、「Analytical Chemistry」オンライン版に掲載された。