理化学研究所(理研)生命医科学研究センター基盤技術開発研究チーム・東京大学医科学研究所人癌病因遺伝子分野・東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野・愛知県がんセンターがん予防研究分野・岡山大学病院大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学分野・国立がん研究センター中央病院遺伝子診療部門・佐々木研究所附属杏雲堂病院遺伝子診療科らの共同研究グループは、日本の2,000人以上の悪性リンパ腫患者群と非がん対照群を用いた世界最大規模の症例対照研究を行い、悪性リンパ腫の中に単一遺伝子疾患型が存在する可能性を明らかにした。
理研で独自に開発したゲノム解析手法を用いて、バイオバンク・ジャパンにより収集された悪性リンパ腫患者群2,066人のDNAを解析した。
非がん対照群38,153人のデータも併せて、27個の遺伝性腫瘍に関連する遺伝子を評価した結果、309個の病的バリアントを同定した。
評価した遺伝子のうち、BRCA1、BRCA2、ATM、TP53の病的バリアントが悪性リンパ腫の発症リスクに関連することが分かった。特に、悪性リンパ腫の病理組織型の一つであるマントル細胞リンパ腫の発症リスクに病的バリアントの影響が大きい可能性が示唆された。
これにより、日本の悪性リンパ腫患者それぞれに適した診療を行う個別化ゲノム医療に貢献すると期待できる。
本研究は、科学雑誌『Cancer Science』オンライン版に掲載された。