染色体分離を制御するセパレース活性制御機構の分子メカニズムを解明し、その成果が国際科学誌Cell Reportsに掲載された。

がん細胞は分裂を繰り返して増殖する過程で、染色体分離の異常を頻繁に引き起こしてしまうため、染色体数が多様な細胞（異数体細胞）が多く作り出されている。

このような染色体分離の異常ががん細胞で頻発する原因については、染色体分離のトリガーとなるセパレースという酵素の活性が早期に漏洩してしまうためであることが解明されている。

また、セパレースの活性制御機構として、セキュリンとサイクリンB1の結合による活性抑制機構があるが、活性化動態の異常が生じるメカニズムについては明らかでない。

今回、セパレースの活性化動態の異常を防ぐための機構として、サイクリンB1によるセパレース活性制御を促進する機構が存在することを発見された。

この機構によりセパレース活性の早期漏洩が防止され、染色体分離の異常が防止されていたことが明らかになった。

今回の研究で解明したセパレース活性動態の異常を防ぐための機構は、がん細胞共通の弱点である可能性があり、がんの染色体分離異常に着目した新たな治療法の標的となると考えられる。